芸能

フジドラマ枠に異変 月9はヒット、木曜劇場は本塁打狙いに

フジの看板ドラマ枠に変化が?(月9『監察医 朝顔』公式HPより)

 数々のヒットドラマを生み出してきたフジテレビのドラマ枠「月9」と「木曜劇場」。この2大ドラマ枠に異変が見られるという。いったい何が起こっているのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 フジテレビの看板ドラマ枠に変化のきざしが見えます。

 1つは1987年にスタートし、『東京ラブストーリー』『ひとつ屋根の下』『ロングバケーション』『HERO』などのヒット作を生み出してきた月9。もう1つは1984年にスタートし、『愛という名のもとに』『29歳のクリスマス』『白い巨塔』『眠れる森』らのヒット作を生み出してきた木曜劇場。

 月9は若年層向けラブストーリーのドラマ枠だと思われがちですが、実際は時代の流行に合わせてさまざまな職業や生き方を描きながら、恋愛の要素を織り交ぜて若年層にもリーチしてきました。

 ところが今夏放送の『監察医 朝顔』は、法医学の世界を穏やかなトーンで描き、東日本大震災をモチーフにするなど流行とは無縁の作品。また、ヒロインの万木朝顔(上野樹里)には初回から桑原真也(風間俊介)という恋人がいて、2話で早くもプロポーズされるなど、恋愛の要素はほとんどありません。

 一方、木曜劇場のターゲットは一貫して、大人の女性層。たとえば、『最後から二番目の恋』『最高の離婚』『医龍』『風のガーデン』など、大人世代の恋愛・結婚、職業や生き方を描き続けてきました。

 ところが今夏放送の『ルパンの娘』は、他局を見渡しても前例がないほどの振り切ったコメディ。年齢性別を問わず笑わせることを狙った作品であり、若年層にもウケていて、ツイッターの世界トレンド3位にランクインするなどネット上の動きが活発です。

 これまでとは明らかに異なる作風なのはなぜなのでしょうか? ともに30年超の伝統を持つ看板ドラマ枠に起きている変化を掘り下げていきます。

◆月9はヒット狙い、木曜劇場はホームラン狙い

 月9は、2010年代に入って視聴率の低下が止まらず、「最低視聴率更新」という報道が相次ぐなど、何度となく打ち切り危機が噂されてきました。昨年も『海月姫』『コンフィデンスマンJP』はネット上の評判こそよかったものの、視聴率は1桁に低迷。しかし昨夏以降、刑事ドラマの『絶対零度』、弁護士ドラマの『SUITS/スーツ』、科捜研ドラマの『トレース』、医療ドラマの『ラジエーションハウス』と、リアルタイム視聴されやすく安定した視聴率が計算できるジャンルの作品を続けて、2桁視聴率を獲得しました。

 同様に今夏の『監察医 朝顔』も、法医学という視聴率を計算できるジャンルであり、「月9は流行を追うよりも、看板枠として確実に視聴率を取っていこう」という方針が見えます。ただ、「恋愛の要素を入れない」「あえてシリアスな東日本大震災を扱う」「大きな事件や急展開のない静かなムード」という若年層から敬遠されかねないコンセプトは、これまでにない試みと言えるでしょう。

関連記事

トピックス

試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン
ヒロイン・のぶ(今田美桜)の妹・蘭子を演じる河合優実(時事通信フォト)
『あんぱん』蘭子を演じる河合優実が放つ“凄まじい色気” 「生々しく、圧倒された」と共演者も惹き込まれる〈いよいよクライマックス〉
週刊ポスト
石橋貴明の現在(2025年8月)
《ホッソリ姿の現在》石橋貴明(63)が前向きにがん闘病…『細かすぎて』放送見送りのウラで周囲が感じた“復帰意欲”
NEWSポストセブン
決死の議会解散となった田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
「市長派が7人受からないとチェックメイト」決死の議会解散で伊東市長・田久保氏が狙う“生き残りルート” 一部の支援者は”田久保離れ”「『参政党に相談しよう』と言い出す人も」
NEWSポストセブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
「ずっと覚えているんだろうなって…」坂口健太郎と熱愛発覚の永野芽郁、かつて匂わせていた“ゼロ距離”ムーブ
NEWSポストセブン
新潟県小千谷市を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA) 
《初めての新潟でスマイル》愛子さま、新潟県中越地震の被災地を訪問 癒やしの笑顔で住民と交流、熱心に防災を学ぶお姿も 
女性セブン
羽生結弦の被災地アイスショーでパワハラ騒動が起きていた(写真/アフロ)
【スクープ】羽生結弦の被災地アイスショーでパワハラ告発騒動 “恩人”による公演スタッフへの“強い当たり”が問題に 主催する日テレが調査を実施 
女性セブン
自民党総裁選有力候補の小泉進次郎氏(時事通信フォト)
《自民党総裁選有力候補の小泉進次郎氏》政治と距離を置いてきた妻・滝川クリステルの変化、服装に込められた“首相夫人”への思い 
女性セブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
《初共演で懐いて》坂口健太郎と永野芽郁、ふたりで“グラスを重ねた夜”に…「めい」「けん兄」と呼び合う関係に見られた変化
NEWSポストセブン
千葉県警察本部庁舎(時事通信フォト)
刑務所内で同部屋の受刑者を殺害した無期懲役囚 有罪判決受けた性的暴行事件で練っていた“おぞましい計画”
NEWSポストセブン
2泊3日の日程で新潟県を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA)
《雅子さまが23年前に使用されたバッグも》愛子さま、新潟県のご公務で披露した“母親譲り”コーデ 小物使い、オールホワイトコーデなども
NEWSポストセブン