笹倉は岩手県の出身で、仙台育英の附属にあたる秀光中に越境留学。2年次には軟式球で147キロをマークし、昨年は全中で準優勝。その名は既に全国区だ。
「身体の馬力が、高校生のレベルではありません。菊池雄星、大谷翔平、佐々木朗希……岩手出身の4人目の怪物に育ってもらえたらと思っています」
そう笑ったのは、仙台育英の須江航監督だ。大船渡との試合で、先発のマウンドを任された笹倉は、4番を打つ佐々木にバックスクリーンに飛び込む特大の本塁打を浴びた。須江監督には、注目を集める大船渡との試合で、笹倉が苦い経験をすることで、さらなる成長を促そうという狙いがあった。まさにそのとおりの展開だったが、163キロ右腕からチーム初安打を記録する思わぬ誤算もあり、非凡な野球センスにあふれる選手だ。
さらに、笹倉と一緒に秀光中から高校に上がった右腕の伊藤樹(たつき)も、2年後のドラフトを騒がせるかもしれない。教科書のお手本のような美しい投球フォームから、器用に変化球を投じていく。現時点で投手としての完成度では笹倉を上回るように見える。
大荒れの宮城大会決勝では、15対10で迎えた7回からマウンドに上がり、いきなり3者連続三振を奪うなど3回を無失点で抑えそのまま胴上げ投手となった。
「9回に投げるとは思っていなくて。すごい経験ができました。MAXは141キロです。右打者にはスライダーとスプリット、左打者にはスプリットとシュートを決め球に使っています」(伊藤)