「佐々木君と比べて、奥川君のほうが現時点で即戦力に近い。すでにプロとしての身体能力、体力を備えており、プロのコーチに教われば2~3年でさらに成長する可能性が高い。一方の佐々木君は基礎体力作りから始めなくてはならず、スタートラインに立つのに2~3年かかるように見えます」
別の現役スカウトはこんな言い方をする。
「彼らを富士登山にたとえると、奥川君はすでに7合目まで登っていて、佐々木君はこれから登ろうというほどの違いがあります。佐々木君はまだ体ができ上がっておらず、プロに入ってから鍛え上げて体重を増やす必要がありますが、10kg太らせた場合、今のようなしなやかなフォームで投げられなくなる可能性もある。もちろん大化けして170km近い球速が出る可能性もありますが、まったくダメというリスクもある。甲子園というプレッシャーのかかる舞台で強豪校を相手に投げる姿を見られなかったのも不安点です。
一方の奥川君は現時点での完成度が高い。ケガをさせたり、潰してしまうと球団の育成が悪いと叩かれますから、スカウトの本音としては奥川君の確実性、安定性を重視したい」
◆“球界の至宝”を壊せない
一方、「佐々木のほうが大きな可能性がある」と指摘する関係者も多い。
巨人の投手コーチとして、ドラフト1位で入団した定岡正二、槙原寛己、斎藤雅樹、水野雄仁らの指導に当たった中村稔氏が言う。