最後に話を冒頭のネガティブな声に戻すと、もう1つの「なつの問題がサクサク解決してしまう」のは、それが当作にとって本当に描きたい重要な問題ではないから。
お盆以降に放送されたマタハラ、待機児童、働く母親の葛藤などを「こういうこともありました」というダイジェストのような描き方に留めたのは、「その分、家族の物語を丁寧に見せよう」という方針からではないでしょうか。
アニメ制作のシーンが好きな人にとって残り1か月間の放送は、少し物足りなさを感じるかもしれませんが、一方で北海道のシーンが好きな人は十分楽しめる内容になるでしょう。特に泰樹(草刈正雄)、天陽(吉沢亮)、照男(清原翔)の見せ場があるようなので、多くの女性視聴者を喜ばせてくれるはずです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。