では、いったい流水麺はどれだけ扱いやすいのか。記者が実際に後発の競合商品と比較してみたところ、確かな違いが感じられた。
流水麺は袋に入っている状態から少しバラバラとほぐれていて、少量のつゆでも20~30秒程度でほぐれるようになっていた。対して競合品は、袋に固まった状態で梱包されており、つゆを1袋使っても2分はほぐれないものも……。
「ほぐしやすさに技術があるということではないんです。麺肌(麺の表面)の美しさにこだわって作っているので、表面がなめらかで、結果的にほぐしやすいのでしょう。お湯をふんだんに利用したラインで、茹でるお湯の温度やpHもコントロールして製造しているため、表面が荒れにくいという面もあります。また、袋にギュッと詰めすぎると固まってしまうので、袋への入れ方も工夫しています」(菊池氏)
◆他社のおよそ2倍、消費期限をめぐる奮闘
利便性という面で避けて通れないのが“消費期限”の問題だ。同社の流水麺は加熱調理が不要であるにもかかわらず、消費期限が6~7日と長い(調理麺を除く)。
消費期限が延びれば売り場も消費者もうれしいが、添加物を増やす以外の自然な方法で、期限を伸ばすのは至難の業だ。
「30年前に発売した当初は、消費期限は4日間でした。これだと、商品が売り場に届く頃には期限まで2日強しかありません。そこで、少しでも消費期限を長くするため、工場での徹底的な衛生管理と設備改善により、一歩一歩、保存可能な日数を伸ばしてきました。この試行錯誤を30年続けてきたからこそ、発売当初から3日も期限を延ばせたのだと思います」(曽根田部長)
加熱殺菌をしていない“フレッシュ”と呼ばれる状態で7日間保存できるのは、業界的にも革新的だと捉えられる。いまだに消費期限が3~4日ほどの商品も多いからだ。今シーズンは、さらに消費期限を延長した加熱殺菌タイプも発売している。