また、祭壇に飾られた遺影には『最も多くのコンサートをプロデュースした人物』『最も多くのNo.1シングルをプロデュースした人物』の2部門で認定された2012年版のギネスブックに掲載された写真が使われていた。この時のジャケットは、もともと田原俊彦が着用していたという説がある。元光GENJIの諸星和己は、玉袋筋太郎がパーソナリティを務めるTBSラジオ『たまむすび』でこう話している。

〈諸星:あのデカいジャケットあるでしょ? あれね、トシちゃんのお古で。ここ開けると、『田原俊彦』って書いてあるの。俺しか知らないの、それ。
玉袋:すごい話だな~(笑)。
春風亭一之輔:胸に『田原俊彦』って? 刺繍があるんですか?
諸星:それで、あの格好でギネスブックの写真だよ。おかしいだろ?っていうね(笑)〉
(『たまむすび』2015年6月26日放送)

 つまり、祭壇上段には田原俊彦にまつわる品々が置かれていたことになる。

 1970年代後半に苦境に陥っていた事務所を再興したのは、たのきんトリオだった。この日、代表して挨拶を述べた近藤真彦と同様に、1980年デビューの田原俊彦も事務所を救った中心的な人物だった。ジャニー氏にとって、野村義男を含めた3人は“中興の祖”として忘れられない存在だろう。

 田原本人はお別れ会に出席しなかった。人それぞれの考え方や事情があることは重々承知しているが、個人的には残念に感じる。ただ、これまで自伝などで再三再四、ジャニー氏への感謝を述べてきたように、田原俊彦の中で故人への思いは変わらないだろう。

 ジャニー喜多川氏は常に新しさを追求し、驚きの絶えないステージを求めていた。田原は今一度、ジャニーイズムに応えられているかを自問自答しながら、これからも続く芸能人生を歩むことがジャニーさんへの供養となるだろう。

◆文/岡野誠:ライター・芸能研究家。本人へのインタビューや関係者への取材、膨大な資料で構成する著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)は3刷に。ジャニー喜多川氏と田原がレコーディング時、歌詞について意見を戦わせた逸話なども綴っている。9月28日、東京・下北沢の本屋B&Bで元CHA-CHAの木野正人とトークイベント開催。

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