「辞典の特性は、言葉の意味を簡潔に説明していて、頭から順番に読んでいく必要がないところ。長文が得意でない人が増える中、短くまとまっていて、どこから読んでもいい辞典というものは、今向きといえます」
長文が嫌われ、短文がうける理由の1つに、SNSの発展がある。紀伊國屋書店新宿本店(東京・新宿)の辞典売り場を担当する米山さんは、これこそが、個性派辞典のブームに直結していると考えている。
「SNSで“言葉”を発信する人が増えました。表現がかぶるのを避けたがる発信者は、自分ならではの言葉を持とうとする。そこで、目新しい言葉や類語を扱う辞典が重宝されているのではないでしょうか」
SNS上でのバズりがヒットにつながった『感情ことば選び辞典』(学研プラス)の帯には“気持ちを言語化できずじたばたするあなたに!”というメッセージが添えられている。例えば、「愛」。自分の思うニュアンスの「愛」が、伝わらないこともある。この辞典を使えば、しっくりくる表現を探せるというわけだ。ちなみにこの辞典で愛のバリエーションは、熟語だけで33種におよぶ。
◆辞典好きの日本人 その始まりは平安時代