「私たち辞典編集者はオーソドックスな辞典を編集する時、7万語を“あ”から“ん”まで何回も読みます。すると、言葉の美しさや日本語の奥深さにはっとさせられ、心に引っかかるものが絶対に出てくるんです。その言葉単体は、分厚い辞典の中にあると目立たない。だから、光を当てて輝かせてあげたくて。つまりは、オーソドックスな辞典を編集していると、ついつい個性派辞典を作りたくなってしまうんです」(神永さん)
無数の言葉から、どの言葉を引き出して、どう編集するか。個性派辞典こそ、辞典編集者としての力量が問われるという。
「分厚い辞典から独立した、詳しくて“読んで楽しい”辞典を作りたいと常々考えてきました。だから、私が手がけた『美しい日本語の辞典』を読んだ小学6年生が、読書感想文コンクールで賞を取った時(2007年)は本当に感激でした」(神永さん)
その小学生も今はもう20代。個性派辞典を片手に活躍する個性派作家らが現れる時代は、そう遠くなさそうだ。
※女性セブン2019年9月26日・10月3日号