だが、それがすんなり進むだろうか。1997年の通貨危機当時、時の金泳三政権は文政権と同じく対日強硬派で、「通貨危機の原因は日本の金融機関が韓国から70億ドルもの国債を引き揚げたことにある」と主張した経緯がある(後に金大中大統領が日本の金融機関が協調姿勢だったことを明かし、この説明を否定)。
果たして文政権がそうした危機に陥った時、日本や米国に支援を求める決断はできるのか。一方で日韓関係の悪化の中で、その支援要請に日本側は手を差し伸べられるのか──。
いくら距離を置いたとしても、否応なく巻き込まれてしまうのが、近隣外交の難しさである。
※週刊ポスト2019年10月4日号