鈴木:今回の台風15号での千葉の被災地では、火災保険を利用した被災詐欺の誘いがヤクザからLINEで回っているそうです。保険が下りたら30~50%渡すから一軒家を持っている知人を紹介してほしいと言うんですが、7割取っていくってボリすぎじゃないか(笑い)。
溝口:同じようなケースは、東日本大震災でもありました。ヤクザの周りには、弁護士や行政書士、司法書士といった、専門的知識と資格を持った人間がいるから、法の網の目をくぐってカネを引き出すノウハウに長けている。
鈴木:警察用語でいうところの、暴力団の「共生者」ってやつですね。
溝口:そう、それ。九州のある暴力団は、一時期まで自前で持っているビルの中に法律事務所を抱えていたくらいです。
●みぞぐち・あつし/ジャーナリスト。1942年、東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。ノンフィクション作家。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『山口組三国志 織田絆誠という男』『さらば! サラリーマン』など。
●すずき・ともひこ/フリーライター。1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『潜入ルポ ヤクザの修羅場』『ヤクザと原発』『サカナとヤクザ』など。
※週刊ポスト2019年10月11日号