──代わりにアピールしたこととは?
粟田:「うどんなんて家で食べれば十分」と考える方々に対して、いかに需要を喚起していくか。それには「丸亀製麺でしか体験できないうどんがある」と伝えていくことが大事。そこで改めて店内製麺とできたてのうどんをアピールしました。ブランド力とは、店の本質を地道にアピールしてコツコツと積み上げることが大事だという教訓になりましたね。
うどんは国産小麦粉にこだわっていますし、水も軟水器を通している。水の硬度がうどんの味に大きな影響を与えるからです。高コストにはなりますが、「店内製麺」という強みをさらに磨いていくことがもう一段の成長につながると確信しました。
◆ちょい呑みはブルーオーシャン
──「丸亀製麺」以外にも立ち飲み屋の「晩杯屋」を展開しています。
粟田:この業態はブルーオーシャンだと思っています。従来型の居酒屋が苦戦を強いられる中、廉価で素朴な「ちょい呑み」が台頭している。近年はグループでの飲み会よりカップルや一人飲みの需要が大きいんです。女性1人で来られて文庫本を読みながら1杯、という方もおられます。
一般的な居酒屋だと、お通しが出て、予算も2000~3000円かかってしまう。でも、「晩杯屋」ならチュウハイが1杯250円、つまみのモツ煮が130円と合わせて300円台で済ませることもできるのです。わずか10分ぐらいでサッとお店を出られる方もいます。
店内は知らない人たちばかりなんだけど、ある種、無言の連帯感みたいな世界があって、誰とも喋らずとも安心感を持って飲んでいる。気軽にちょっと一杯飲んで帰りたい──そういう利用が増えていますね。
「晩杯屋」はまだ50店舗ぐらいですが、こういうちょい呑み空間はますます求められていくと思いますし、次世代の新しいスタイルではないかと思います。