• TOP
  • 国内
  • 大勲位・中曽根康弘氏は中国の国力増大をどう捉えていたか

国内

2019.11.30 07:00  NEWSポストセブン

大勲位・中曽根康弘氏は中国の国力増大をどう捉えていたか

中曽根:日本はアメリカ以外と大国同士の付き合いをした経験はほとんどありません。アメリカとは、長い付き合いのなかで暗黙の了解点ができている。経済にしても安全保障にしても、同じ価値観を共有していることが基本です。ところが、中国とはそういう関係ではなかった。これから新しくつくり上げないといけないわけです。今の日本にも小村寿太郎が必要なんだね(笑い)。
 
 これを成功させるには、国民も外交当局も、まずは現代中国をきちんと理解することです。政治や経済、国の内部情報などは必ずしも日本に十分伝わっているとはいえません。それを踏まえて長期戦略を練っていくことです。もちろん政府もやっているところでしょうが、国民には見えないから不安を与えている。時には強く、時には柔軟なやり方が必要です。

――特に安保政策への不安は大きい。「中曽根内閣」ならば、どう対処するか。

中曽根:対米関係とアジアの近隣外交をどう結合させていくかが大切です。中国の対米政策がどう変化していくかがメルクマール(指標)になるでしょうね。なぜなら、その外洋戦略、航空母艦の建造など、アメリカと対立する要素は多い。その一方で中国の経済力、貿易力の増大は、一時の日本の膨張を凌ぐ勢いになっていくでしょう。その力の展開のなかでアメリカと対立しないようにすることが、中国の一番苦労する点だろうと思います。

――だからアメリカと協力して膨張を封じ込める?

中曽根:封じ込め、という考え方はまさに時代錯誤ですね。そうではなく、むしろ日本はアメリカを利用する立場にあるということです。アメリカを誘導して共に中国に対処していく方策を探るべきです。

――政権交代から1年半も経って「仮免許だから」というような民主党政権では心もとない。

中曽根:日本の政治は二大政党制になったけれども、政策的な二大政党はまだ成就していない。特に外交においては、あまりにも長く野党にいた民主党は、この分野ではまだ処女性が強くて、うぶな面がある。鳩山外交から今日まで民主党外交は失敗ですね。

 それが国民から見ると落ち着きがなく不安に映る。鳩山政権時代には、言葉が走ってしまって現実がついてこなかった。

 では菅政権はどうかというと、その後始末に追われているだけで新しい菅外交というものは見えないですね。主体性が見えず、おっかなびくびくやっている。それが国民に政権の脆弱性を痛感させる結果になっている。

――二大政党制は失敗だったという見方もある。

中曽根:政治を訓練する期間、訓政期という言葉がありますが、まあ国民も野党の自民党も、もう少し忍耐強く民主党が完熟するのを待ってもいいのではないですか。鳩山政権は、初めて政権を持った野党がどういうものかを見せつけましたね。直観的な発言をバンバンやって、後始末に困ってしまった。菅政権になると、今度は冒険的な発言をまるでしなくなった。追われてばかりいて、押し返す力がない。

 あと1年くらい経てば、政権も3年目で、落ち着きと慣れが出てくる。そうすれば独自の戦略も生まれてくるかな。しかし首脳部の力量不足が目につく。

――うぶな鳩山政権が国民を不安にしたのは事実だが、かつての自民党政治に回帰しようとしている今の菅政権にも、政権交代を支持した国民は失望している。

中曽根:処女性の魅力を失ってはいけないが、しかし未熟さを早く脱却しないと国民に見捨てられる、そういうジレンマですね。
 
しかし、そう短気になってはいけないんです(笑い)。この選挙制度、政治制度というものが成熟するには3年、5年はかかります。新しい路線を目指して進むという以上は、国民にも忍耐する義務があると私は思いますね。

――民主党政権のどこが新しいのかが見えない。

中曽根:自民党政権との違いということならば、自民党が官僚寄り、財界寄りであった点を是正しようということでしょう。最初は極端にやろうとして官僚からも財界からも見放された時期が続いた。それを反省して修正し、その修正が続いているのが今の段階でしょうね。しかし、修正の時代は、長く続く、太く強靭なものを国民に示すというところまでできない。そこがこの政権の弱みです。小沢君はそれをやろうとしたのでしょうけれどね。

――小沢氏は、今のような政治では政権交代の意味がないと批判している。

関連記事

トピックス