同研究では、50歳以上の男女6381人を、たんぱく質の摂取割合によって3つのグループに分けて18年間追跡調査した。
その結果、50~65歳では、たんぱく質を最も多く摂取したグループは、最も摂取量が少ないグループに比べて、死亡率が74%高く、がんによる死亡リスクは4倍だった。ところが65歳以上になると、肉摂取リスクが「逆転」した。たんぱく質を最も摂取していたグループの死亡率が28%、がんによる死亡リスクが60%、それぞれ低下したのだ。元ハーバード大学研究員で、ボストン在住の内科医である大西睦子医師が指摘する。
「肉を控える必要があるのは、肥満やコレステロールの過多などで生活習慣病にかかりやすい40代~50代です。食が細くなり栄養が不足しがちな65歳以上のシニアは、むしろ肉を食べてたんぱく質を補充したほうがよいと考えるべきでしょう」
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ただし、ハムやソーセージなどの「加工肉」、牛肉や豚肉などの「赤身肉」には、「発がん性」が指摘されているため摂り過ぎに注意が必要だ。
世界保健機関(WHO)の外部組織である国際がん研究機関は2015年に加工肉の発がんリスクを「十分なエビデンスがある」として最高ランクの「グループ1」に分類した。具体的には、加工肉を毎日継続して50g摂取し続けると、大腸がんのリスクが18%増加するとの内容だった。