ライフ

椎名林檎も共感、我が子の障害を受け入れる人々を描く本

椎名林檎も読み込んだ命の尊さを訴える一冊(時事通信フォト)

椎名林檎も読み込んだ命の尊さを訴える一冊(時事通信フォト)

『運命の子 トリソミー 短命という定めの男の子を授かった家族の物語』(小学館)、『発達障害に生まれて―自閉症児と母の17年』(中央公論新社)など多くのノンフィクション作品を世に送り出し、小学館ノンフィクション大賞も受賞している小児外科医の松永正訓さんが、この10月に上梓したのは『いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき』(中央公論新社)。

 2017年10月から今年4月まで読売新聞の医療サイト『ヨミドクター』で隔週連載された「いのちは輝く」に加筆・再構成したものだ。

「書く内容は、連載が始まる前に決めていました。1年半を費やして、ひとつの世界観を発信できたと思います。それは“命を巡る価値観”。個々人が命をどのように捉えているかをあぶり出す。そういう作品に仕上がっています」(松永さん・以下同)

 反響はすさまじく、読売新聞オンライン史上最高の1億900万PVを記録した。

「連載終了後に、PV数が1億超えと聞き、驚きとともに子どもの障害への関心の高さを実感しました」

 有名人も反応した。本作品の帯には、

「この世に
生を受けた
誰しもに
関わってくれる
やさしい
哲学書
です」

 という一文があるが、これはシンガーソングライターの椎名林檎から寄せられた文章だ。

 今年6月に放送されたNHK『SONGS』では、彼女の日常の出来事が日記形式で公開された。そこには、

《2017年11月某日 小児外科の松永正訓先生による記事。今回は私と同じ先天性奇形・食道閉鎖で生まれた子についての議題。この赤ちゃんには口唇口蓋裂も見付かり、どうも親御さんはそちらのほうを憂いて、食道閉鎖の手術へ同意なさらなかったらしい。赤ちゃんは時間切れでじき餓死。

 松永先生は文中「21世紀の現代にこんなことがあってもいいのか」とおっしゃっている。確かに。しかし同時に今の時代だからこそ起こった出来事のようにも思える。》

 とあった。椎名は先天性食道閉鎖症という病気を抱えて生まれてきたため、生後まもなく手術を受けている。そんな彼女からの手紙を、松永さんは出版社を通して受け取ったという。

「椎名さんは食道閉鎖の赤ちゃんの話を読んで、当時の自分の病気について母親と話す機会を持てたようでした」

 また、彼女は松永さんの『ヨミドクター』の記事を読んでは、友人と議論することもたびたびあったという。小児外科医の最優先事項は子どもの救命だ。

関連記事

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン