「実は白米抜きなどの糖質制限が、糖尿病の原因になる可能性があるんです」と指摘するのは、浜松医科大学名誉教授で内科医の高田明和氏だ。

「糖質制限で体内のブドウ糖が不足すると、『コルチゾール』というホルモンが分泌されて、筋肉を分解して糖を生み出す『糖新生』という反応が起こります。その際、コルチゾールはせっかく上がった血糖値を維持するために、血糖値を下げる働きをする『インスリン』の効きを悪くします。結果として血糖値を低くコントロールすることができず、糖尿病になる可能性があります」(高田医師)

 豪メルボルン大学の研究チームが2016年に科学雑誌『nature』オンライン版に発表した論文では、「低炭水化物食」(糖質制限食)を与えたマウスは、インスリンを生成する「β細胞」の機能が減少していた。

 長期の糖質制限が「脳」に与える影響も深刻だ。

「白米を食べないなどでブドウ糖が欠如すると、脳細胞に栄養を与えるグリア細胞が機能しなくなります。糖質制限を長く続けると脳機能が衰え、認知症を発症するリスクが増します。最近の高齢者の交通事故の増加とも関係があると危惧されています」(高田医師)

 都築准教授の研究でも、糖質制限食を与えたマウスは、一般的な食事のマウスより記憶力が半分程度に低下した。白米を食べ続けることは、健康寿命を延ばすこともつながるのである。都築准教授は、今こそ白米を含む「和食」に注目すべきと指摘する。

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