とはいえ、過去GⅠ未勝利馬が勝ったのは平成以降6回だけだし、その時出走していたGⅠ馬はすべて7頭以下。もちろん勝った馬は能力があったのだが、有馬記念を回避したGⅠ馬が多かったのも一因。昨年もGⅠでは馬券圏内にすら入ったことがないブラストワンピースが勝ったが、2018年中にGⅠを勝ったのは2頭だけだった。
逆に言えば、年を越せば同じような距離の、相手関係が楽になるAJCC杯や日経新春杯が控えているにもかかわらず、これだけのGⅠ馬が出走を表明しているレースに挑むのは、「状態」がすこぶるよく、「適性」もあるという陣営の自信があってのことではないのか。
上位人気のGⅠ馬に敬意を表しつつ、スティッフェリオがその一角に食い込むことを期待する。天皇賞(秋)で12着に敗れた段階で、音無調教師は「小回りの方がいい」と有馬出走のプランを立てて調整してきた。
1998年には11番人気ながらセイウンスカイやエアグルーヴを抑えて3着にはいったステイゴールドの産駒は、ここ10年で4勝2着1回3着2回。好枠を引き当てたGⅠ未勝利の丸山騎手に、ゴール前で「そのまま!」と声援を送りたい。
●ひがしだ・かずみ/今年還暦。伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。