少し前まで地上波でプロ野球を扱う番組は多く、オフシーズンにはプロ野球選手による歌番組まで存在した。全盛期に比べるとプロ野球の存在感が薄れゆくなか、自身の存在を忘れられないためにも自力で動画を配信する。今後、このような自己PRはプロスポーツ業界で当たり前となっていくはずだ。
コンテンツとして世間に知られていなかった秘密を意図して洩らす一場がいれば、意図せず話すこと全てが暴露となってしまう元プロもいる。その代表格はなんといっても、12月10日から連続して3回『片岡篤史チャンネル』にゲスト出演した清原和博だろう。動画では、テレビでは絶対に流せないエピソードが聞けた。
第一、執行猶予中の清原の雑談を今、テレビで観ることが難しい。薬物中毒を脱するためのリハビリ生活を追ったドキュメンタリーはある。しかし、そういった番組で取り上げられる清原は「失落した元スター選手」という一側面だけだ。本来の性格である無邪気さが一瞬たりも漏れてこない。
『片岡篤史チャンネル』での清原は素の状態で出演していた。片岡のチャンネルにはナレーション、言葉を強調して伝えるYouTubeでもおなじみのテロップによる演出がほぼないため、どこよりも生っぽい清原が動画に映っていた。
1本目の動画で清原は「逮捕された時の心情」から「現在の生活」までを語る。田代まさしもかつて話していた“薬物依存者あるある”なのだが、清原は「寂しさ」から覚せい剤に手を出してしまったという。また、薬物を毎日は常用していない自身を薬物依存者だと考えていなかった、と反省する。この禊といえる動画の約30分間、2人は一切笑うことはなかった。
2本目からは元プロ野球選手らしい動画となり、清原と片岡は母校であるPL学園に想いを巡らせる。詳しい内容は動画を観ていただきたいのだが、2人が笑いながら語る学生生活は、体育会系とは隔離された世界で生きてきた僕からすれば、衝撃の内容であった。
野球と寮生活、それしかないPL学園での生活。集団生活における若者のパッションが“甲子園”という目標に一点集中すれば、そりゃおかしくもなる。金銭的に余裕も生まれ、夜遊びにも精を出すプロ野球選手とは全く異なる野球がそこにはある。絶対に体験したくないが、むせ返るほどの青春話は興味深い。