テレビや新聞、雑誌に山田さんが出ても発案者の名は出ていません。面白いアイディアは独り占めにするっていうのが彼の性格なのかな、恥ずかしくないのかしらと困惑しました。加えてアーティスト同士という感情以上に、山田さんに年上の友人として敬意を抱いていましたしね。僕は友情を踏みにじられたとも感じています。そういう態度やモノの考え方は彼個人のものなのか、それとも日本映画界の悪習でしょうか?

 もし、今回の件が日本映画界の慣習なら、まともに物を創る人間の住む世界とは思えない。本当に、そうじゃないことを祈りますね。

◆「山田さんは芸術家ではない」

〈今回のインタビューの前に、横尾氏は山田監督宛に抗議の手紙を送った。本件の経緯、踏みにじられた友情や仁義について切々と綴ったという〉

 はじめは内容証明を松竹へ送ろうかと思ってたんです。だけど、それだとクレジット欲しさのセコい感じがしてやめました。僕の気持ちを真摯に山田さん本人に伝えたいから、手紙にしたんですよ。一言、「あなたのアイディアを使うけれども、製作は任せてくれ」と断わってほしかったということ、そしてそれをしなかった彼の態度について、「晩節を汚している」とも書きました。

 すると山田さんは、その手紙を持って声を震わせて僕のアトリエへ駆け込んで来た。彼は「誤解だ、当初から横尾さんの発案だと喋っていました」と言うわけ。僕がそんな話どこからも入ってこないと返すと、今度は「名前を出すと忙しい横尾さんに迷惑がかかるから」と答える。説明が二転三転した末に、なんとか懐柔しようと「これからの取材ではちゃんと横尾さんのことを言います。今度こそ一緒に映画を作りましょう」と僕の肩を抱いてくる始末(笑い)。全然、真意が伝わってないんだなと呆れました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

逮捕された谷本容疑者と、事件直前の無断欠勤の証拠メッセージ(左・共同通信)
「(首絞め前科の)言いワケも『そんなことしてない』って…」“神戸市つきまとい刺殺”谷本将志容疑者の“ナゾの虚言グセ”《11年間勤めた会社の社長が証言》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“タダで行為できます”の海外インフルエンサー女性(26)が男性と「複数で絡み合って」…テレビ番組で過激シーン放送で物議《英・公共放送が制作》
NEWSポストセブン
ロス近郊アルカディアの豪
【FBIも捜査】乳幼児10人以上がみんな丸刈りにされ、スクワットを強制…子供22人が発見された「ロサンゼルスの豪邸」の“異様な実態”、代理出産利用し人身売買の疑いも
NEWSポストセブン
谷本容疑者の勤務先の社長(右・共同通信)
「面接で『(前科は)ありません』と……」「“虚偽の履歴書”だった」谷本将志容疑者の勤務先社長の怒り「夏季休暇後に連絡が取れなくなっていた」【神戸・24歳女性刺殺事件】
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン