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タブーを検証、五輪競技別に存在する「メダルの価値」の違い

リオ五輪バドミントン女子ダブルス金メダルの高橋礼華選手(左)と松友美佐紀選手(時事通信フォト)

 ついに、五輪イヤーが幕を開けた。今夏、実施されるのは339種目。団体競技もあるので用意されるメダルの数は1000個を超える。その色は「金・銀・銅」の3色しかないが、実は競技ごとに様々な観点から“価値の違い”が存在するようだ──。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 私の眼前には汗と涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、言葉にならない言葉で国民に謝罪する吉田沙保里(37)の姿があった。2016年リオ五輪。吉田は女子レスリング53kg級の決勝で敗れた。

「申し訳ないです……日本代表の主将として、金メダルが獲れず、ごめんなさい」

 4大会連続でメダルを獲得した吉田を批難する国民などどこにいようか。そうした思いに駆られる一方で、私は絶望に打ちひしがれる霊長類最強女子と、柔道女子48kg級の谷亮子(44)の現役時代とをだぶらせ、“五輪メダルの価値”について考えていた。谷は1992年バルセロナ、1996年アトランタこそ銀メダルに終わったものの、シドニー、アテネと金メダルを獲得。2008年の北京でも銅メダルを手にし、吉田を上回る5大会連続でメダリストとなった。

 谷と吉田は共に長く第一線で活躍し、誰も追随できない金字塔を打ち立て、称賛されてきた。その両者が保持するメダルの価値は、いったいどちらが勝るのだろうか──。

 まず、レスリングと柔道では、競技人口で大きな差がある。国内では女子柔道が約2万8000人(高体連専門部の登録数は約5000人)であり、女子レスリングは2000人未満(同276人)。実に10倍以上の開きがある。

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