投票率は実に74.9%に達した。蔡英文は817万票、韓国瑜552万票。立法院も民進党が61議席で過半数を制し、国民党は38議席にとどまった。台湾人は「中国化」を阻止したのである。
中国が「力による現状変更」という剥き出しの覇権主義を下ろさないかぎり、東アジアに平和と安定は訪れない。
選挙4日後の1月15日、蔡総統は、国外の敵対勢力による選挙干渉やロビー活動、政治献金、虚偽情報の拡散などを禁止する「反浸透法」に署名した。違反者は懲役5年以下に処すという厳しい法律である。
日華断交後48年を経ても未だ日台基本法さえつくれない日本の国会議員。激動のアジア情勢の中で、日本が毅然とした姿勢を取り戻すことができるか否かは、私たち国民の声にかかっている。(文中一部敬称略)
【プロフィール】門田隆将(作家・ジャーナリスト)かどた・りゅうしょう/1958年、高知県生まれ。『この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』 (角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。近著に『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』 (角川文庫)、『新聞という病』 (産経新聞出版)など。
※週刊ポスト2020年1月31日号