「今や日本で働く外国人が増加し、企業でも“日本”というくくりではなく“アジアやグローバルでの採用計画はどうするか”というレベルの話になってきています。グローバルに戦える人材を求める企業が増えています」(増本さん)
立命館アジア太平洋大学(APU)は、まさに世界で活躍できるグローバルな人材の育成に特化した大学だ。就職先の実績は紹介したとおり。同大学が語学のみならず力を入れているのは初年次教育で「多文化環境に適応する能力」を磨くことだという。同大学の入学部長の近藤祐一さんはこう学びのプロセスを語る。
「今、社会に出てから必要なのは多文化の中で生じるストレスを学びに転換し、どんな場所や状況でも主張すべきことをして、他人に貢献していく適応力だと思っています。それを身につけるためには、リカバリーできる学生のうちに失敗することが必要です。だからあえて、学生たちには授業を通して失敗を体験させます」
その1つが、入学してから2か月目に行われる5日間の海外研修だ。
「6人グループで台湾に行くのですが、空港につくとすぐにそれぞれのグループにくじを引かせます。中身を開けるとそこには“○○に来なさい”と地名だけが書かれている。交通機関もホテルも予約しておらず、インターネットは使用禁止。
観光案内所にも行ってはいけないというルールを設け、すべて現地の住民に聞いてたどり着きなさい、と指導するのです。大体、それまでに3分の1のグループが崩壊する。だけどそれでいいのです。その後、何が問題だったか、お互いの長所や短所はどこかを話し合い、振り返ることで学生は見違えるように成長します」(近藤さん)
“ハード”な方法で語学を叩き込む国際系の学部はほかにもある。
「早稲田大学の国際教養学部、法政大学のグローバル教養学部など、英語で授業が行われる学部が人気です。近畿大学国際学部は全員1年生の秋からの留学が必須になっています。1~2年勉強してから留学させるのではなく、いきなり海外に出す。留学先もアメリカだけでなく、中国や台湾、韓国などアジアも専攻によって用意されており、多様な学びが期待できます」(安田さん)
※女性セブン2020年2月6日号