国内

新型肺炎拡大、「日本に駆け込んで治療」目論む中国富裕層も

武漢市の病院は診察を待つ人たちであふれている(写真/アフロ)

 ヒトからヒトに感染しない。感染力は弱く中国以外では広がらない──中国政府の見立てはことごとく外れた。

「ここにいたら死を待つだけ」。そう思った人々は、あの手この手を使い脱出を企てた。隔離されたはずの街から次々と市民が消えた。彼らの消息はつかめていないという。

 春節(旧正月)の飾りつけが施された通りから人が消え、商店や飲食店が休業に追い込まれた。病院には患者が殺到してベッドが足りなくなり、新たな病棟を突貫工事で建設する。交通機関はすべてストップし、静寂が街を包む──。

 ゴーストタウンと化した中国・武漢市。中東部に位置する湖北省の省都として栄え、主力産業である自動車を中心に日本などから多くの外資系企業が進出する。兵庫県ほどの広さで、人口およそ1100万人。東京23区の約920万人より多い。三国志の赤壁の戦いを描いた大ヒット映画『レッドクリフ』(2008年)の撮影地としても知られる。

 そんな大都市を突如襲ったのが、新型コロナウイルスだ。

 武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染による肺炎の発症者は日を追うごとに増し、韓国、タイ、カナダ、アメリカ、フランスなど17の国と地域で感染が拡大している。

 中国本土の死者数は132人で、感染者は世界全体で6000人以上となっている(1月29日時点)。

 武漢市は1月23日、感染経路を遮断するため空港や鉄道駅を閉鎖し、市内のバスや地下鉄の運行を停止し、市民の車両通行を原則禁止とした。武漢市民は買い出しのためスーパーに殺到し、食料品の棚は瞬く間に空になった。マスクや薬品も品薄になっている。

 不安が高まる市民の中には、“脱走”を試みる者もいた。なお、封鎖の規則を破って脱出すれば、3~7年の禁固刑を言い渡される可能性がある。残るも地獄、逃げて見つかっても地獄──現地中国人記者の話だ。

「とにかく合法的に街を離れるため、封鎖が緩かった初期段階では、発熱がある人は解熱剤を繰り返しのんで何度も体温を測り、一時的に下がったところで空港や駅を“突破”したという人が多かったようです」

「中国で死にたくない」──在留邦人も必死だ。1月初旬から“街がおかしい”と日本人同士で連絡を取り合いはじめ、いよいよ封鎖の情報が出ると、荷物をまとめ、高速道路で北京や上海を目指した家族も少なくないようだ。

 中国事情に詳しい日本人ジャーナリストが言う。

「規制中の23日夕方、武漢市に工場があるホンダの現地法人従業員やその家族20人ほどがトレーラーの荷台に潜んで、武漢から約90km離れた市外の『咸寧北駅』を目指したそうです。彼らは高速鉄道で広州を経て、香港に向かったとされています」(ホンダ広報課は「春節期間中につき、現地社員の所在は把握していない」と回答)

 中国政府は国内外での移動制限も実施し、1月27日から中国人が国外へ団体旅行することを禁じた。しかし、完全に遅きに失した。

関連記事

トピックス

裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン