◆有力選手が続々と出場を回避
有力選手が大量ボイコットするケースも起こり得る。
2016年のリオ五輪では、蚊を媒介として感染する「ジカ熱(ジカウイルス感染症)」が大流行した。その結果、男子ゴルフではジェイソン・デー、ダスティン・ジョンソン、ロリー・マキロイら世界ランク上位者が出場を辞退した。
疫病ではないが、2008年の北京五輪ではマラソン世界最高記録保持者(当時)のハイレ・ゲブレセラシェが大気汚染の酷さを理由に出場を見送った。前出・玉木氏の指摘だ。
「感染症によってその後の選手生命への影響や、命にかかわる危険性、家族を巻き込む可能性がある。選手にとって五輪は4年に1度のチャンスですが、その舞台に安全や最善のコンディションが保証されないなら、棄権を選択する選手が出て当然です。特にプロとして活動するトップアスリートにその傾向が強まるでしょう」
◆「開催地の変更」を要求される
新型コロナウイルスが発生した中国・武漢で予定されていた五輪予選の開催地が、次々と変更された。女子サッカーのアジア最終予選B組の開催地は、武漢から一時、南京に変更されたものの、感染拡大を受けて中国サッカー協会が開催権を返上し、豪州・シドニーで行なわれることとなった。
女子バスケット予選も中国・佛山からセルビア・ベオグラードに、ボクシングのアジア・オセアニア予選も武漢からヨルダン・アンマンへと変更された。東京でも同様の会場変更が生じる懸念はある。
「昨年11月に決定した東京五輪マラソン開催地の札幌への変更は、直前の世界陸上(ドーハ)のマラソンで気温30℃を超え、棄権者が続出したことでIOCが東京都に提案した。他の競技でもウイルスを理由にIOCや他国が開催地変更を求める可能性があります」(スポーツ紙五輪担当デスク)
※週刊ポスト2020年2月21日号