新型コロナウイルスに感染した患者の搬送先では、細心の注意が払われる。
「患者が搬送されるのは、病院内の『陰圧室』と呼ばれる病室です。ウイルスが外部に流出しないよう室内の気圧を外部より低くしてある特別な病室で、結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)など、空気感染力が強い疾患の治療室として使われます」(医療関係者)
母子が搬送されたのは、神奈川県内にある医療機関の陰圧室だった。
「搬送の際は、病院内に緊張が走りました」
と明かすのは、前出の厚労省関係者だ。
「たとえ陰圧室での処置でも、患者と間近で接する医療関係者には感染のリスクがあります。しかも搬送される当日にはウイルスの発生源である中国・武漢で初期に大勢の感染者と接して、ウイルスの危険性を唱えていた中国人医師が、自身も感染して死亡したと報じられたばかり。これには経験豊富な医師や看護師も緊張を隠せませんでした。
また、ほかの入院患者の動揺を避けるため、院内には徹底した箝口令が敷かれて、一部の関係者以外には感染者が入院したことが知らされませんでした」(前出・厚労省関係者)
未知のウイルスの到来に危険を察知して身構える医療関係者。感染者の増加に伴い、こうした緊迫した状況が各医療機関で続いている。
※女性セブン2020年2月27日号