自国開催を前に、各競技団体はこれまで以上に大規模な五輪代表選考を行なってきた。陸上のマラソンでは、昨年9月のマラソン・グランド・チャンピオンシップ(MGC)で代表2枠を決定するという新たな試みを実施。日本実業団陸上競技連合が日本記録更新者に1億円のボーナスという“ニンジン”もぶら下げ、3月1日の東京マラソンでは大迫傑(28)の日本記録更新(2時5分29秒)という快挙が生まれた。
しかし、やり直しとなれば、こうした選手や競技団体の努力も水泡に帰す。スポーツジャーナリスト・酒井政人氏はいう。
「男子マラソンに関しては1年先延ばしでも代表の選考をやり直す必要はないと思います。MGCで代表に内定した中村匠吾選手(27)、服部勇馬選手(26)、そして東京マラソンで日本人1位となった大迫選手の3人の実力は十分。年齢的にも全員20代で、4年後だって狙えるメンバーです。もちろん、今年の箱根駅伝2区で驚異の区間新を叩き出した東洋大の相澤晃選手(22)のように、これからマラソンに挑戦して1年後にどうなるか楽しみな選手はいますが、MGCを札幌でやり直すといったことはできないでしょう」
一方で、実力が十分なアスリートでも故障と無縁ではいられない。1年の間に別の大会に出場するなどして内定選手がケガを抱えた場合、どういった対応を取るのかの備えは必要になる。
※週刊ポスト2020年3月20日号