主演映画の舞台挨拶では夫役・大泉洋との名コンビぶりもみせた(撮影/平野哲郎)
そんな小池栄子の魅力は、自分を飾らない、繕わないところにある。小池は現役のグラビアアイドルだった頃、“グラドルは売れるにつれて肌の露出が減っていく”という風潮があることに対し「自分はグラビアで売れたのだから、どんなに売れても水着になり続ける」と言っていた。それが今年放送されたバラエティ番組では、「最後に出した写真集のサイン会にファンが5人しか来なかったのでもう写真集は出さない」とあけすけに語っている。
また、『爆笑問題の検索ちゃん』『クレイジージャーニー』といったバラエティ番組から『カンブリア宮殿』というビジネス番組に至るまでアシスタントMCを務め、共演する村上龍や松本人志らから絶大な信頼を得ているのも、その頭の回転の早さだけでなく、変に作ることなく、型にこだわらずに発言できる胆力も買われてのことに違いない。
そんな素直さが演技にも投影され、小池の演技には平面だけでなく“素”の部分が見え隠れする。だからこそシリアスな役をやってもコメディエンヌとしても、演じる役に奥行きが出るのだ。
『グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~』のキヌ子は、汚い身なりの下に美貌が隠れるその見た目と同様、豪放磊落に見えて繊細、ぶっきらぼうだけど優しいという多面性を持った役だった。感情と表情がクルクル変わるキヌ子は、小池だからこそ演じきれた役だといえる。年間200本近くのインタビュー取材をこなす映画ライターの磯部正和氏も次のように語っている。
「小池さんの女優としての魅力は、人物を非常に立体的に演じられることだと思います。映画の舞台挨拶やバラエティ番組などで見せる闊達で明るいイメージに近い、表層的には“強め”な女性を演じることが多いですが、その人の持つ弱さや未熟さなどがどこかに垣間見える芝居をしてくれます。
ご本人は映画『八日目の蝉』でご一緒した成島出監督に役に対する向き合い方を学んだと話されていましたが、人を一方向だけで捉えない、ご自身の人間力の高さも芝居に活かされているのではないかと感じます」
