竹内涼真の新たな魅力を発見できる作品となった

●ロケが生きる映像

 殺伐とした山の稜線、森林と不気味な雪景色。ロケだからこそ、場所性がくっきりと浮かび上がる。どこにでもあるオフィス街では描けないであろう、独特の陰鬱とした雰囲気。どんよりとした集落の空気、過去の陰惨な事件と絡み合う人間関係…場所に潜む「怖さ」というものを感じます。そう、『八墓村』をはじめとして集落での殺人事件というミステリーの系譜上にこの作品も立っている。その意味で過酷ではあってもロケは必要不可欠であったし大きな効果を発揮しました。

 いよいよ犯人が特定される最終回。終わりだからこそ謎解きに留まらず父と子、人と人との絆を描いたヒューマンストーリーとして完結して欲しい。

「善人」「正義の味方」として描かれてきた佐野文吾はいったいなぜ、いかなる時に「殺人犯」の刻印を押される運命を担ったのか。表層的な嫉妬や恨みといった次元を超えて、人の業のようなものが潜んでいるはず。深淵なる理由をきっちりと描き出し「そうだったのか」と納得させて欲しい。また、タイムトリップ前には最愛の妻であり、現代においては記者・由紀を演じた上野樹里さんの存在も気になってしかたがない。最終回、人間ドラマの醍醐味をぜひとも期待します。

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