そう言って笑う後藤さんだが40代になった今も若々しい見た目のままだ。ナチュラル系ブランドの服にショートボブ、小柄で目が大きく、これまでもいまもモテるだろう。
「つきあった男性は10人超えます。チャラ男のだめんずから堅実な人まで、あまりいい思い出はないですね」
モテる女性ならではの悩みか。しかし、そんな後藤さんの前に1999年、日本のエンタメ業界に衝撃をもたらしたスーパーアイドルグループ、ジャニーズの「嵐」があらわれる。
「もう一発でハマりました。いつも嵐のことばっかり考えるようになっちゃって、それからずっと嵐ひと筋です」
嵐の話題となると止まらない後藤さんだが、その辺は割愛させてもらう。独特の専門用語や仕様もあるらしく、オタクである私でもジャンルが違いすぎてわからない。また後藤さんいわく、私がそれらを書くことは時に危険な行為になるという。活動休止の話にふれようとしたら、「日野さん、マジ刺されますよ」とかわいい笑顔で警告された。なのでここは素直に従い、嵐をファンとしてどれだけ推しているかについてだけ触れる。
グループアイドルにはメンバーカラーと呼ばれるものがある。オタクである私にもわかる言い方だと、特撮ドラマの戦隊シリーズではキャラクターごとに赤、青、黄、緑、黒、ピンクなどに色分けする風習があるが、それと似たようなものらしい。後藤さんの嵐での推しは「青」だそうだ。確かに後藤さんの服も見事に青系。
「だから土日祝に休める仕事にしました。コンパニオンや美容部員は土日祝休めませんから」
後藤さんは事務職のアルバイトに転職した。仕事のできる後藤さん、アルバイト先でも契約社員の誘いや派遣会社の正社員の話もあったが、すべて断ってきたという。
「すべて嵐のためです。私は嵐が本当に好きです。仕事はそのための糧でしかありません」
じつは後藤さん、優秀なことで知られる某有名女子大学を卒業した才女でもある。
「勉強ばっかりの女の子でした。アイドルも人並みには興味がありましたけど、大人になってまさか人生が変わるとは思ってもみませんでした」
しかしバブル崩壊後は新卒、とくに女子の四大卒の就職率は下がり、後藤さんのような名門女子大卒でも苦戦したという。