この渾名は言い得て妙で、実際、8年間のバラク・オバマ政権で副大統領として何をしたのか、どんな功績があったのか、ほとんどの人は思い出せないと思う。クリントン政権時のアル・ゴア副大統領のような独自色は出せないでいた。大統領候補としてはキャラクターが薄くて面白味がなく、演説も下手くそだ。テレビのインタビューで受け答えに窮して「You know what(あれだよ、あれ)……」を連発するなど、物忘れや言い間違いも多い。
バイデン氏復活の原動力になったのは黒人票で、たとえばスーパーチューズデーの出口調査では黒人の約6割の支持を得て、サンダース氏を突き放したと報じられている。その理由は、初の黒人大統領のオバマ氏を副大統領として支えた経歴や民主党の黒人有力議員が支持を表明したことだというが、それ以上でもそれ以下でもなく、バイデン氏自身の功績で黒人に支持される理由は見当たらない。
さらに、トランプ大統領との戦いでは、バイデン氏のウクライナ疑惑が重い足枷になる。副大統領時代、ウクライナのガス会社に高給で息子のハンター・バイデン氏を就職させたり、彼に対する訴追をやめさせたりした、という疑惑である。中国の企業でも同じく不自然な職と報酬を得ていたと報じられている。一方のトランプ大統領もウクライナ疑惑が取り沙汰されたが、こちらは曲がりなりにも上院の弾劾裁判で無罪評決が下って“禊ぎ”が済んでいる。
しかし、バイデン氏側の疑惑はうやむやになったままなので、もし双方のウクライナ疑惑に改めて注目が集まるような展開になったら、バイデン氏は分が悪い。
そう考えると、民主党の大統領候補は、トランプ大統領が“クレイジー・バーニー”と渾名を付けたサンダース氏のほうがトランプ大統領とのコントラストがはっきりしていて意外性があったと思う。