延期や中止で運営が苦しくなる一方のライブハウス(写真はイメージ)
時を同じくして、ライブハウスも自粛要請に合わせて制限を設けながら営業をし、インターネットでの配信ライブを行うなど、この状況を打破しようと努めてきた。もちろん感染リスクを低くするためには、営業を中止するのが一番だ。だが営業ができなくなると収入がなくなり、政府から補償を受けられる確約もないため、経営破綻はもちろんライブハウススタッフの生活も危ぶまれる。
となると選択できる方法はひとつ。感染リスクを減らすために細心の注意を払いながら経営することだった。観客や出演アーティストの不安を少しでも払拭しようと、ライブハウスもSNSなどを通じて「スタッフの手洗いや手指消毒、マスク着用、場内の換気や消毒などを徹底している」と精力的に呼びかけてきた。
だがライブハウス=3つの密が生まれる危険な場所という印象がついてしまうと、世間の目は厳しい。ライブハウスやイベント企画者には毎日のようにSNSのダイレクトメール、電話などで苦情が入り、ライブハウスを守るべく動くアーティストにも、「こんな危険な場所を守ってどうするんだ」という批判が飛んだ。
それ以降の3月中は、日本での1日に判明した感染者数や死者数も増え続け、自粛要請期間も延長された。政府や都道府県は声明のたびに「3つの密を避けるように」と呼びかけ続ける。この期間に、政府から自粛を求める要望が書かれた書面が届いたライブハウスもあったそうだ。
ライブハウス側は「スタッフ、アーティスト、観客を危険にさらすわけにはいかない」という気持ちから、3月末日から営業を中止する店舗が相次いだ。なにより終わりの見えないこの状況は、多くのライブハウス関係者を苦しめている。
「5月までこの状況が続くなら夏には廃業する」と公言するライブバーもあれば、4月末に閉店せざるを得ない状況に陥ってしまったライブハウスもある。