ビジネス

休業要請で窮地のライブハウス 「4月閉店」を決めた施設も

休業要請施設を発表する東京都の小池百合子知事(4月10日/時事通信フォト)

休業要請施設を発表する東京都の小池百合子知事(4月10日/時事通信フォト)

 4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため、政府が7都府県に発令した緊急事態宣言。それを受けて東京都が4月10日に発表した休業要請の対象施設の中には、クラスターの発生を招いたライブハウス等も含まれる見込みだが、すでに無数のライブが延期・中止されている現場は疲弊しきっている。音楽ライターの沖さやこ氏が、業界の苦境ぶりと再起をかける取り組みをレポートする。

 * * *
 新型コロナウイルス感染症に関して、世の中は日ごとに新たな局面を迎え続けている。2月に「不要不急の行動を避けるように」という自粛要請が出たものの、3月下旬から感染者数は増え始め、4月4日に東京都の1日の感染者数が初めて3桁に到達。7日に出た全国7都道府県の緊急事態宣言では、様々な種類の施設の休業要請が検討された。

 2月26日、日本政府の新型コロナウイルス感染症対策本部にて安倍晋三首相は、多数の人間が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等について、大規模な感染リスクがあることを勘案し、2週間の中止、延期または規模縮小等の対応を要請した。EXILEやPerfumeが、ドーム公演開催当日にもかかわらずライブを中止したことも記憶に新しい。

 それから数日後の3月初旬、大阪のライブハウスでクラスターが発生したとの報道が出た。密閉空間、密集場所、密接場面という「3つの密」を満たす場所はこの世に多数あれど、最初に「クラスター発生場所」として注目を集めてしまったこと、様々な土地から人が集まっていたこと、かねてから世間に根強く残る「ライブハウス=怖いところ」というイメージや固定観念などが重なり、ライブハウスはやり玉に上げられてしまったように思う。

 音楽業界、特にライブハウス界隈は、ビジネス以上に“想い”で動いているシーンだ。ライブハウスは「素晴らしいアーティストを育てたい」、「この場所でなければ感じることができない貴重な時間を過ごしてほしい」という信念のもと運営を続けている。アーティストたちにとっても、自分たちが初めて公の場に出た始まりの場所であり、それはホームや故郷とも言い換えられる。

 アーティストもライブ中止・延期を余儀なくされるなど損失は多く、中止や延期になった公演で販売するはずだったグッズを通販したり、インターネット配信での投げ銭システム投入、在宅での楽曲制作など、なんとか運営資金を回している状況だ。そして2月末から3月下旬の間は、ライブを行うことが困難になってしまったライブハウスに少しでも還元できるよう、無観客配信ライブや、観客の数を制限してライブを開催するなどして収益の寄付を行ってきた。

関連記事

トピックス

AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト