今回出走馬の血統表を眺めると、デアリングタクトの祖母にデアリングハートの名前を見ることができる。2003年に社台サラブレッドクラブから、サンデーサイレンス産駒としてはリーズナブルと言える総額3400万円で募集され、府中牝馬Sを連覇するなど4勝をあげている。フィリーズレビュー2着で05年の桜花賞に出走、10番人気ながらラインクラフトの3着に粘った。
デアリングタクトはエピファネイア産駒なので、父方の祖母はシーザリオということになる。デアリングハートとは同じ歳で、桜花賞では2着だった。名牝唯一の敗戦、その悔しさをも受け継いでいる。
桜花賞ではフレッシュサイヤーがここ10年で3勝している。エルフィンSからの直行は自粛ムードの中で行われた9年前の桜花賞と同じ、5枠9番という枠順は祖母デアリングハートと同じだ。
もう1頭、マジックキャッスルの母ソーマジックは、1着12番人気レジネッタ、2着15番人気エフティマイアと荒れた08年の桜花賞で、唯一上位(5番)人気で3着を死守した。3連単は700万円。クビ差4着で先行したハートオブクイーンは16番人気だったので、ソーマジックがとらえきれていなかったら、いったいどのぐらいついていたのだろう。この馬もクイーンC2着からの参戦。
3連単は祖母と母の思いを背負ったこの2頭を軸にしてみたい。そのほかではやはり桜花賞の定番ディープインパクト産駒か。クイーンCでマジックキャッスルに勝っているミヤマザクラと、シンザン記念から直行のサンクテュエール。どうせなら無観客競馬を経験していない2頭に注目する。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。