3月末、開店前のスーパーに並ぶ買いだめ目的と思われる人々(時事通信フォト)

3月末、開店前のスーパーに並ぶ買いだめ目的と思われる人々(時事通信フォト)

◆はっきり言って使命感なんて大層なものはない

「トイレットペーパーを求める客に加えて保存の効く乾麺類、パスタとか袋麺とかがごっそり消えることが増えました。客もみんな殺気立ってて、客同士の喧嘩とかもありました。店員やっててこんな恐ろしい目に遭うなんて思ってもみませんでしたよ。命の危険を感じることすらある。普段は客に見下されても恐怖とかは感じなかった」

 また近藤さん、世間の店員に対する声に不満だという。

「こんな時でも店をやってくれてありがとうと言われることもある。そういうときは素直に嬉しいです。でもモンスタークレーマーやネット民にはうんざりです。これまで散々小売って仕事はネットでバカにされてきました。面と向かって些細なことでバカにしてくる連中もいますよ。それは客商売だから我慢するけど、ネットで代わりはいくらでもいる底辺小売とか、低学歴の仕事とか書かれ続けるとねえ…いまも散々ですよ、コロナで大変な店員ネタだとそんな仕事を選んだ奴の自業自得とか書かれてました」

 そんなの一部だけ、匿名のバカは気にするなと言ってもおさまらない。それにしても近藤さん、終始ピリピリしている。時折辺りを警戒するように見回し、普段は温和なはずのマスク越しの目も鋭い。

「はっきり言って使命感なんて大層なものはないですよ。普通のサラリーマンです。それなのに会社の、本部の命令がある限り俺たちはコロナに罹ってるかもしれないジジババやガキに命の危険に晒されながら物を売るんです。医者より薄給で、医者ほど尊敬されない仕事ですけど、俺たちが店を開けなかったらどうするんですかね。コロナで買いだめしようとする列をさばいて、マスクもしない爺さんの罵詈雑言を浴びて、ババアに小突かれて」

 勢い余ってか口汚く吐き出す近藤さん、ストレスは限界だ。実際、買いだめの応対は過酷で、パートの一部はすでに退職、「いきなりバックレたのもいます。気持ちはわかります。命かけてまでやる仕事じゃないでしょう」。確かに、一度心臓をやっている基礎疾患のある私も怖い。パートやバイトなら私も一旦辞めるだろう。それでなくても電車内でマスクをしていない人がいると離れるようにしている。だが近藤さんは店舗でそういう人たちにも逃げることなく対応しなければいけない。それも毎日、これからもだ。

「俺だって正社員じゃなけりゃとっくに辞めてます。パートの人たちは本部の命令で時短になったら、希望するほどシフトに入れないってのもあるし。だからパートの人たちは責められませんね、SV(スーパーバイザー)にはどやされるけど。本部やSVからは『ピンチをチャンスに!』と激が飛ぶし、実際、コロナ騒動以降売り上げは伸びているし。でも、そんなの知るかっての。仕事は好きですが命かけてまでやる仕事じゃありません。それが俺である必要もない」

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