浮き彫りになった海外と日本のICT教育の差。ICTが進まないのは、大人がスマホやタブレットをネット検索やメール、SNS、ゲームといった娯楽的側面でしか使い方を知らないからではないか。だからこそ、子供がそれら機器を学校に持ち込むのに不安を覚えるのだろう。

 だが、「子供の力を見くびってはならない」と話すのは、新書『「過干渉」をやめたら子どもは伸びる』(小学館)の著者のひとりで「校則のない学校」として知られる東京・世田谷区立桜丘中学校前校長、西郷孝彦さんだ。同校はスマホもタブレットも使用を許可している。

「スマホは、メールやネットをのぞくだけのものではなく、“使い勝手のいい手のひらサイズのコンピューター”です。学校で使用できるようにしたら、普段の学習に活用したり、さらに簡単なアプリまで作ってしまう生徒も出てきました。ゲーム依存やSNSの危険性ばかりにとらわれて、子供にデジタル機器を与えないのはナンセンスです。ごく近い将来、世界中でデジタルネイティブの子供が当たり前になる。そのとき、このままでは日本は取り残されてしまいます。もっと授業などでも活用した方がいい」(西郷さん)

 大人もテレワークを通して、オンラインの有用性を思い知ったはずだ。騒動後は、デジタル格差も、世界の学力差も間違いなく広がる。西郷さんは続ける。

「かつては、まだ家庭にあまり普及していなかったネットを学校に行けば使えるという時代があった。いまは、学校ではネットが使えないという時代になってしまった。デジタル格差は家庭間だけの問題ではなくなりつつあります。世界に後れをとってしまった日本の教育環境を早急に改善すべきです」

 コロナ禍を機に変わらなくては。

※女性セブン2020年4月23日号

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