◆共感が必要なテレビ、ひとこと言わせるネット
これだけ話題を呼んでいるのは、最近のテレビの方向性や潮流とは逆をいく点もあるようだ。仁科さんは言う。
「私はテレビを見てコラムを書いているのですが、最近売れているタレントさんや女子アナは、『あえて欠点を見せることができる人』だと思っています。芸能人や女子アナが雲の上の人だった時代は終わっていて、いかに親近感を抱かせるかがポイントになっているとも言えるでしょう。視聴者に『この人も私と同じなんだ』と思わせなければ、共感も応援もしてもらえない時代なのかもしれません。
それに対して、『成功』や『姫気質』をストレートに打ち出してくるこのドラマは、若い世代には新鮮に、主人公と同じ、もしくは年上世代には懐かしく感じられて面白いと思いました。
テレビドラマと違って、SNS時代のネット配信ドラマとして『賛否両論巻き起こす』というのは、最高のプロモーションではないでしょうか。非の打ちどころがないものよりも『ひとこと言わずにはいられない』作品を作ることが才能であり、SNS時代の成功だと私は思います。主人公のリミは悪意などまるでない、女性をエンパワーしようとする存在です。しかし、よく見てみると、そこにうっすらと固定観念や性差別が感じられる。無自覚だからこそ根が深いわけで、だからこそ、いろいろな意見が寄せられるのでしょう」
リミの他にも、仕事に生きる女性、年下彼氏との恋愛を謳歌する女性、そしてSNSで夢を掴もうともがく若者たちなど、それぞれが手に入れたいものを手に入れるために、奮闘する。観た者は彼女たちの誰に共感するのか、あるいは反撥するのか。また、彼女たちの生き方を新しいと感じるか、古いと感じるか。世代によって捉え方も変わってくるだろう。いずれにせよ、“語りたくなるドラマ”であることは間違いない。