では、肺を鍛えることは、新型コロナに対しても有効なのか。そもそも肺炎には、ウイルスによるものなど原因は様々ある。誤嚥により肺に細菌が入ってしまう「誤嚥性肺炎」は、高齢になるほど発症リスクの高い疾患として知られている。
肺を鍛えて十分な呼吸ができるようになれば、前述の通り免疫力の改善が期待できる。
「呼吸機能が良好であれば、一般的に肺炎の重症化リスクが下がるので、新型コロナによる肺炎でも同様に下がる可能性があります。一般の肺炎予防でいえば、肺炎球菌やインフルエンザに対するワクチン接種も重要です」(谷本医師)
呼吸機能を高めることは、日常生活での大きなメリットにもつながる。
「私の臨床経験からですが、呼吸は自律神経と密接に連動しているので、十分に呼吸できない人は交感神経が優位になり、眠りの質が悪くなったり、疲れやすかったり、集中力が低下しやすくなったりする傾向がみられる。正しい呼吸をすることで、そうした悩みが解消することも多いのです。
さらに姿勢が良くなるので腰痛が解消し、腕や足の動きも円滑になって、高齢者に多い関節の変性症の予防にもなります。
老化だけでなく、喫煙など生活習慣によって肺の機能は落ちてしまいます。だからこそ、正しい運動によって、呼吸の能率を高めることは非常に大切だと考えます」(前出・柿崎氏)
自宅でできる手軽なトレーニング、まずは実践してみては。
※週刊ポスト2020年5月1日号