スポーツ

コロナ禍の大相撲報道、なぜどこのスポーツ紙も同じなのか

春場所は無観客だった(時事通信フォト)

 八百長問題に揺れた2011年以来、9年ぶりとなる本場所の中止がついに決まった。5月24日に初日を迎えるはずだった夏場所が中止となったのだ。親方や力士ら、協会員から感染者が相次いだ裏では、スポーツ紙などでは報じられない“情報戦”が繰り広げられていた。相撲協会の対応は適切だったのか──国難にあたって、改めて国技の在り方が問われている。

 4月25日には、高田川親方(元関脇・安芸乃島)や同部屋の十両・白鷹山ら、新たに6人の協会員の感染が判明したと発表されたが、幕下力士4人については詳細が不明なうえ、所属部屋すら非公表のままだ。もし5人以上が同じ高田川部屋所属で感染したなら「クラスター(小規模な患者集団)」にあたるが、それも明らかにされていない。改めて質問状を送付しても、対応窓口は自動音声アナウンスが流れるのみで回答は得られなかった。

 その一方で、なんとか7月の名古屋場所を東京開催にして1場所5億円とされるNHKの放映権収入を確保し、補償問題を含めた交渉をまとめたいという思惑もあるようだ。こうした水面下の動きが活発になる中、メディアの取材にはどんどん制限がかかっている。

 4月中旬以降、記者クラブメディアも協会から国技館への入館自粛を要請されている。担当記者はこう嘆く。

「それまでは、国技館の記者クラブで電話をスピーカーにして、指定した力士や親方に共同インタビューなどができた。それが各部屋の稽古取材禁止に加え、国技館内の記者クラブも使えなくなった。夕方に国技館前に集まり、幹事社が代表取材した内容のレクチャーを受けるだけ。広報部長の芝田山親方(元横綱・大乃国)のコメントすら代表取材。各社とも同じような“協会発表”ばかりの内容となるわけです」

 複数の関係者の情報として、最初に感染がわかった幕下力士と、その後に判明した2人以上が高田川部屋であり、親方と白鷹山をあわせて5人以上となり〈高田川部屋クラスターか〉と報じたスポニチ(4月26日付)のような記事は、“例外中の例外”というわけだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
《TOKIO解散には迷いなし?》松岡昌宏、「男気会見」で隠せなかった本音 唯一違った“足の動き”を見せた質問とは?
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン