つまり、親子や兄弟姉妹だけでなく親戚や赤の他人がいても、同じ家に住んで生計を共にしてさえいれば「世帯」なのである。社会人になって収入がある子供が親と同居していても生計を共にしていれば1世帯だが、一緒に住んでいても生計を別にしていれば市区町村に届け出るだけで2世帯にできる。また、学生であっても一人暮らしをしていて住民票をその住所に移していれば、そこが1世帯とみなされて自分が世帯主となるが、一人暮らしをしていても住民票を実家から移していない場合は実家が世帯であり、そこの代表が世帯主になる──という意味不明の制度なのだ。

 かつて家族が一つ屋根の下に暮らすのが当たり前だった時代には意味があった「世帯」という単位は、もはや現実にそぐわなくなっている。

“アベノマスク”も「1世帯(1住所)に2枚ずつ」配布されたが、厚労省の統計(2018年)によると、世帯構造で最も多いのは「夫婦と未婚の子のみの世帯」(全世帯の29.1%)で、それとほぼ並んで多いのが「単独世帯」(同27.7%)となっている。多人数の世帯にも一人暮らしの世帯にも同じく2枚ずつということを考える人の頭の中を覗いてみたい。

 2015年10月以降、すべての国民に割り振られたマイナンバー(個人番号)は本来、個人と国を電子的につなぐためのものだった。しかし、極めて使い勝手の悪いカードになったため、これを所持するメリットが小さく、持ち歩いていたら紛失のリスクもあるので、いまだにカード普及率は16.2%(2020年4月22日時点/産経新聞4月28日付)に留まっている。

 今回の現金給付でも、マイナンバーカードを持っている人は専用サイト「マイナポータル」からオンラインでの申請ができるようになるというが、最初から給付に重複や漏れがないようにマイナンバーで管理し、個人の住所・預金口座などをデジタルで紐づけて活用できるようになっていれば、それで済んだ話だ(もちろんセキュリティは極めて重要になるので、指紋・声紋などでの生体認証は必須)。

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン