ライフ

コロナの夏の高齢者 体温・室温管理、経口補水液の備蓄を

熱中症の前兆として、めまいや頭痛、微熱、足がつるなどの症状がある

 夏を思わせる日差しや蒸し暑さを感じるようになった。新型コロナウイルスの流行はまだ予断を許さず、今年前半、閉じこもりが続いた高齢者には心身機能の低下もささやかれている。そんな中で迎える熱中症シーズンだ。

 老親を見守る家族が知っておくべきこと、この夏の乗り切り方を、高齢者医療、認知症にも詳しい在宅診療医・高瀬義昌さんに聞いた。

◆コロナ禍で高齢者の体はかなり弱っている

「体を守る免疫力は加齢で低下するといわれますが、高齢者の場合、緩やかな曲線で落ちていくわけではないのです。たとえれば、台風の中でサーフィンをしているようなもの。いつも危機に瀕しつつ、乱高下しながらドタバタ落ちる。昨日まで何でもなかったのに、急に落ちて、突然喘息や帯状疱疹が出たりする。高齢者の体調の特徴です」と言う高瀬さん。家族は、高齢者の体調や病気の知識を持っておくことが大切だという。

「コロナ禍で運動量は明らかに減り、食事も量が減ったり同じものばかり食べたりして、栄養バランスが崩れています。この状態は免疫系、自律神経系、内分泌系など、連携して体の機能を調整する働きを滞らせます。若い人はまだ持ちこたえる余力があり、気づきにくいかもしれませんが、高齢者は一気に体調が悪くなり、うつ気味にもなる。

 私の周りにも、目に見える病気の一歩手前、微熱が続いて何となく具合が悪いという人が少なくない。まず高齢者全般がこういった状況にあることを知っておきましょう」

◆熱中症だけじゃない 脱水の脅威を知ろう

 熱中症は高温・高湿度など、暑くて体の熱が放出しにくい環境で、体温が上昇してめまいや頭痛などが起こり、重症化するとけいれんや意識障害、死に至る場合もある。

 キーとなるのは体の水分。血液などの循環をよくし、発汗して体温を下げる。もともと体内の水分量が少ない高齢者は熱中症になりやすく、毎年、熱中症で救急搬送される約半数が65才以上の高齢者。しかも炎天下より室内で多く発症している。

「熱中症のいちばんの要因でもある脱水(体内の水分量の不足)は、高齢者にとっては通年の課題。体内の循環が悪くなることで免疫機能全般が低下する上、脱水が背景にある病気がほかにもたくさんあるからです。

 たとえば血液がドロドロになって血栓ができやすくなり、脳梗塞などの引き金に。また尿量が減って細菌が洗い流されにくくなり尿路感染症や膀胱炎、腎盂腎炎も。これらは高齢者には命取りになる場合もあります」

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン