私の長い研究の結果、ひとつの定理を見いだした。3人である以上、その必然があるのだ。
笑いの本場・浅草から出て抜群の運動神経を誇り歌も歌う。体技がひたすらおかしいのが〈エノケン&たけし〉、インテリゆえに体は動かさずに主に言葉の芸が〈ロッパ&タモリ〉、落語家出身なのに落語はあまりやらずひたすらTVが好きでTVではしゃぐ〈金語楼&さんま〉という構図である。これを指摘したのは史上初、私が初めてである(だからどうしたって話だが)。
“芸”というのは目と耳で判断するものではなく私はライブでそこに身を委ねてその芸人の匂いみたいなものを感じることだと思っている。
たけしは煮込みの匂いがし、さんまは大阪のタコ焼きの匂いがする。タモリはバーのカウンターに置かれた“かわきもの”の匂いがするのだ。それはたけしの師匠が深見千三郎であり、さんまの師匠が笑福亭松之助であるのにタモリは「シェー」のイヤミ同様、赤塚不二夫の作品のひとつにしか過ぎないからである。
タモリ出現後、芸能界には師匠無しのノーブランドが量産されていく。
■イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2020年7月3日号