産経の世論調査で不正が発生

 政治意識・世論研究など計量政治学が専門の井田正道・明治大学教授は問題の背景をこう分析する。

「アルバイト調査員が担当ノルマをこなせず、自分で回答書に書いてしまう。そうした捏造は“メイキング”と呼ばれ、特に面接で調査を行なっていた頃はその防止が重要な課題とされていました。新聞社は不正を防ぐために以前は調査員の募集から教育まで自社で行なっていた。

 現在は外部の調査会社への委託が主流になっているから、新聞社は管理をしっかりやるしかないが、今回の事件は管理が杜撰すぎた。産経とフジは委託先が調査業務を孫請けに出していたことさえ知らなかったという。世論調査の信頼性を失墜させる行為です。委託の委託で調査単価が下がり、孫請けは人件費を節約するため不正に走ったという事情も考えられます」

 本誌・週刊ポストが朝日、読売、毎日の3紙に取材すると、いずれも「調査を業務委託しているが、産経・フジテレビとは別の会社。調査の時は当社の社員が立ち会い、不正防止の体制をとっている」という内容の回答だった。

 産経・フジもチェック体制は設けていたのだろうが、1年も捏造を見抜けなかった。

「今回の不正はサンプルの一部でした。メイキングの多くは、露見するのを防ぐため、他のサンプルの傾向に合わせてデータを作ります。それによって発覚しにくくなる」(前出・井田氏)

 産経調査は不正が始まる昨年5月より前から朝日、毎日より内閣支持率が高い傾向が知られていたが、捏造後の数字も同じ傾向だった。産経新聞の“論調”に沿う内容だったから、疑問を持たなかったのではないのか。

◆「重ね聞き」の影響は?

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