“自粛警察”なるものも横行している。開いているお店やマスクをしてない人を過度に非難したりしている。罰則規定のない自粛要請だから、せめて自分が私的制裁を加えなければならないとでも思っているのだろうか。でも、実際は、他者を攻撃することで、憂さを晴らしているのにすぎない。

 人をこうした攻撃に向かわせる根底には、感染への恐怖と、暮らしや経済の先の見えない不安があるのだろう。この恐怖と不安を、ぼくたちはどう乗り越えていけばいいのだろうか。

 一つは、「想像力」である。

 諏訪中央病院の総合診療科、玉井道裕医師は「新型コロナウイルス感染をのりこえるための説明書」を書き、市民のリテラシーを高めるために一役買っている。手書きの文字とイラストでとてもわかりやすいと、マスコミで取り上げられた。

 いくつものバージョンが更新されている。そのなかの「働く人々編」の最後に、こんな記述がある。

「このウイルスによって職を失った方、働きたくても働けない方、大勢おられると思います。逆に、感染するかもしれない恐怖があっても、3密がどれだけ危険かを知っていても、明日、生きていくためには、今日、働かないといけない人もたくさんおられるでしょう。

 その結果、勤務先で意図せず感染してしまい、ひどい言葉をあびせられた人もたくさんいると思います。私はそのような人達を絶対に非難しません。その人が経験したつらさは、その人にしか分かりませんが、私はできる限りの想像力を使い、同じ気持ちになって、解決策を考えていきたいと思います」

 まったくその通りだと思う。多くの人が家のなかで自粛できるのは、生活や医療を支えるエッセンシャルワーカーが命がけで働いているためである。すべての人が同じように外出を自粛したら、経済はもちろん、社会は成り立たなくなってしまう。

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