こうした状況の中で、鉄道事業各社はそれぞれ感染防止に向けた取組を実施している。「車内換気」「飛沫感染防止のための改札等へのビニールシート設置」「窓口での並び位置表示」「アルコール消毒液の設置」「駅・車両の清掃」「社員のマスク着用徹底」「手洗い、うがいの励行」などだ。
乗客に向けても、(1)マスクを着用し、会話を控えめに(2)車内換気へのご理解・ご協力を(3)混雑を避けた時間帯・車両でのご利用を──という「3つのお願い」を呼び掛けている。
さらに、JR東日本は7月7日、山手線や中央・総武線各駅停車の駅のホームや改札における混雑予測の提供を同社提供のスマホアプリ「JR東日本アプリ」で7月下旬より始めると発表した。
対象駅は山手線内の27駅で、アイコンの色で「混雑なし」「やや混雑」「混雑」「大変混雑」の当日から2日後までの時間帯ごとの予測情報が一目でわかるというものだ。駅やホームの混雑状況を把握するにはもってこいのアプリだが、混雑が激しい主要ターミナル駅の東京駅、新宿駅、品川駅は今後対応を検討するという。
対象駅が限定されているうえ、実際に利用客がその時間帯を避けるかどうかは別問題だけに、感染防止の一定の効果はあるかもしれないが、このアプリだけでは通勤ラッシュ解消には程遠いのではないか。
鉄道事業者は現時点で可能な対策を講じている。しかし、通勤時の混雑状況が劇的に改善されなければ、駅や電車内での感染不安は拭い去れない。あとは国や東京都がどれだけ効果的な手を打てるかだ。