ビジネス

西松屋はなぜコロナの勝ち組になれたか 理系人材登用が奏功

全国に1000店超の店舗がある西松屋チェーン

全国に1000店超の店舗がある西松屋チェーン

 コロナショックで大打撃を受けたアパレル業界で、ベビー・子供用品の専門店を全国展開する西松屋チェーンが躍進を続けている。なぜ、同社は「コロナの勝ち組」になれたのか。ジャーナリストの有森隆氏が強さの秘密をレポートする。

 * * *
 西松屋チェーンの2020年3~5月期単独決算は、売上高は前年同期比8.5%増の407億円、純利益は44.5%増の24億円だった。一時期、コロナによって40店舗を休業したにもかかわらず、売り上げが落ちることはなかった。

 コロナウイルスの影響が最も大きかった4月でさえ、既存店売上高は前年同月比2.1%増と前年実績を上回り、その後も5月8.8%増、6月33.8%増、7月11.8%増と大健闘。なんと9か月連続でプラス成長を達成した。

 2021年2月期(通期)は当初予想を上方修正した。売上高は前期比6.3%増の1520億円、純利益は4倍の42億円と、かなり強気の計画を打ち出している。まさに「コロナの勝ち組」そのものである。

 西松屋の躍進を支えたのは、お母さんたちからの熱烈な支持だった。粉ミルクなどの乳児食品、紙おむつ、おしりふきなど、出産・子育ての必需品が伸び、コロナ禍ではまとめ買いをする光景も見られた。また、外出自粛の影響で家で過ごす時間が増え、おもちゃも売れた。

通路が広く、人混みにならない店づくりが特徴の西松屋

通路が広く、人混みにならない店づくりが特徴の西松屋

 西松屋がコロナに打ち克つことができたのは、独特な店舗のつくりもプラスに働いた結果だ。大村禎史社長(65)は、「店舗は天井が高さ5メートル、通路は2.5メートル以上にするなど、ヘビーカーを押しながらでもゆっくりすれ違えるようになっている」と説明する。

「新型コロナの影響で消費者は人混みを避ける傾向が強い。店舗内の通路が広く、ほかの客との間隔を確保しやすい、ソーシャルディスタンスを保つことができる点がお母さんたちに高く評価された」(流通担当のアナリスト)

 大村氏が店舗展開のベースに置いているのは、「はやらなくても、儲かる店づくり」だ。繁盛店ができたらもう1店出して、1店より2店で利益を出す。通路が広く「ガラガラ店舗」と皮肉られる店でも、2~3人で店舗を切り盛りしているから利益は確保しやすくなる。こうした店づくりが結果的に3密を回避し、コロナに打ち克つことに直結したわけだ。

 現在、西松屋は全国に1006店(2020年2月末時点)あり、従業員数は4689人だが、本体の社員数はわずか696人。パートやアルバイトを戦力化できなければチェーン店は回わらないため、まさに徹底した効率経営の賜物といえるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン