離婚発表後、父の別荘地近くで友人らと犬の散歩に出かける杏
「裁判の過程で、A子さんが、杏さんの同級生の保護者を含む知人50人から、約2億円もの借金をしていたこと、同時期に、心酔していた宗教団体に、約2億5000万円の大金を振り込んでいたことがわかったのです。渡辺さんが離婚を求めた理由は、この借金でした」(前出・芸能関係者)
母親が、自分の友達の親から金を借りていた──これだけでも思春期の子供の心は揺れ動く。だが、A子さんも黙ってはいなかった。その反撃は、杏の心をないがしろにするものだった。
「A子さん側の代理人弁護士は、渡辺さんの不倫疑惑を問いただしたのです。そのときには、9人の女優の実名も挙げられました」(前出・芸能関係者)
不倫をする父、借金をする母。外からは理想的な家庭に見えていた渡辺家は瞬く間に崩壊していった。
「別居時、杏さんは父側に、兄は母側についていましたが、父親の裏切りを知った杏さんは、自らの意思でA子さんの元へと戻っていきました」(前出・芸能関係者)
裁判は、渡辺の勝訴で決着したが、杏の親権はA子さんが持つことになった。離婚後、A子さんの元に残ったのは2人の子供と、多額の借金。そこで、一念発起したのは、A子さんではなく、杏だった。それまでも行っていたモデルとしての活動に専念するために、高校を中退したのだ。このとき、杏は芸名から渡辺姓を外している。親の七光りと言われることを避けるためだったのだろう。
身長174cmのすらりとした長身に、長い手足。恵まれた体形を携え、トップブランドのコレクションにも出演するなどキャリアを重ねた。この頃、A子さんと杏の関係は、“一卵性母娘”と周囲から言われるほど密な関係だった。裁判でA子さんが杏に対し、
《虚偽の事実を述べて、その場逃れのような生活を行うのではなく》
と、厳しい言葉をぶつける10年ほど前の話である。
「実際に2人はよく似た容姿でね。印象的な杏さんの瞳なんかは完全に母親譲り。一緒に買い物に行ったり、家事を分担して生活したりと、離婚前よりも仲が深まったように見えましたね」(杏とA子さんの共通の知人)
この時期には、女優業もスタート。話題のドラマや映画に次々と出演。2008年には芸能事務所「トップコート」に所属し、2009年には個人事務所を設立した。その個人事務所の社長には、苦労を共にしてきたA子さんが就任している。
世界を舞台にする父と袂を分かち、共に歩むことを選んだ母娘。しかし、その2人の間は、この個人事務所の存在をきっかけに少しずつ亀裂が生じ、気づけば修復が不可能な状態になっていた。2013年にNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』の主役を務めた杏は、翌2014年、個人事務所を退社し、トップコートとの直接契約に戻すことをA子さんに通達した。
「杏さんの個人事務所は、2013年には1億8000万円近く売り上げるほどに成長していましたが、杏さんに支払われる給与が売り上げに対して、あまりにも少ないことを杏さんが疑問視していたのです。
しかもこの頃、杏さんはA子さんの振る舞いに頭を悩ませていました。A子さんは女性霊能者に傾倒し、個人事務所のコンサルタントとして、多額のコンサルティング料を支払っていたのです。このことに気づいたとき、杏さんは愕然としたそうです。ただ、母親の借金を返すまではと思い直し、それがようやく実現したタイミングで、独立を画策したのです」(前出・芸能関係者)