さにー:1970年代までは歌謡曲とワールドミュージックが結構、融合していましたが、私は1980年代バージョンで、それを成功させたのは、田原俊彦さんの楽曲なんじゃないかなと思っているんです。
田中:ポール・アンカもトシちゃんに曲を作っています。
半田:そう。実は世界的なヒットメーカーが楽曲を提供している。
さにー:すごいですよね~。5位の沢田研二さんの『勝手にしやがれ』は“歌謡バー”で、このイントロが流れてくると、お客さんの反応が尋常じゃないんです。曲が始まった途端、みんな立ち上がって「アアア~、アアア~」って。初めて見たとき、かなり衝撃的でした。
半田:知らないと、ちょっと怖いかもね(笑い)。
さにー:自分たち世代は知らない共通認識みたいなものが、この歌にはあるんだって思ったのが印象的でしたね。そして4位が『S・O・S』です。
半田:数あるピンク・レディーの中でなぜ『S・O・S』を選んだの?
さにー:この曲は1990年代にNHKで放映されていた『アリスSOS』というアニメの主題歌だったんです。歌っている人もアレンジも違うんですけど。おもしろいのは、私も周りのみんなもアニメのストーリーは忘れているのに、曲は覚えているんですよね。
田中:へぇ~。ユーチューブとかで見られるの?
さにー:はい、見られます。歌詞も素晴らしいですが、メロディーがすごくいい。
半田:あの曲の元になっているのは、井上順さんの『昨日・今日・明日』(1971年)。歌い出しとか、すごく都倉俊一さんらしい。わかりやすくて、テンポもそこまで速くない。
さにー:ここという見せ場があるわけじゃないのに、なんか乗っちゃうメロディー。『ひとりじゃないの』でも話に出たように、誰が歌っても耳にこびりついちゃうメロディーの強さがあって、好きなんです。
【プロフィール】
半田健人/1984(昭和59)年生まれ。『仮面ライダー555』で初主演。2014年に自身初のオリジナル・フルアルバム『せんちめんたる』をCD&LP同時発売。2017年に全曲自宅録音のアルバム『HOMEMADE』をリリース。現在は作曲家やタレントとしても活動している。
田中稲/1969(昭和44)年生まれ。大阪を拠点にライターとして活動中。昭和歌謡、ドラマ、懐かしブームなどを中心に執筆。著書に『昭和歌謡 出る単 1008語』(誠文堂新光社)など。CREA WEBにて『田中稲の勝手に再ブーム』を連載中。
さにー/1992(平成4)年生まれ。Webデザイナーの傍ら、1970〜1980年代のヒット曲の総合情報サイト『あなたの知らない昭和ポップスの世界』を運営。昭和ポップスの魅力を伝えるため、ラジオやテレビなどにも出演。
※女性セブン2020年10月22日号