芸能

“恋愛ドラマの秋”が再来 「2020年代は復権」の可能性も

話題を集める恋愛ドラマ『#リモラブ』(公式HPより)

 この秋クールの連続ドラマが続々とスタートしている。ラインナップを見てみると、ある特徴があることに気づく。恋愛ドラマが急増しているのだ。いったいなぜか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 今秋はネット上に「こんなに多いのはいつ以来?」という声が飛び交うくらい、ひさびさに恋愛ドラマがそろいました。

 14日にスタートした『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』(日本テレビ系)は、コロナ禍の設定をいち早く採り入れたラブストーリー。ソーシャル・ディスタンスやテレワークなどの描写が新鮮さを感じさせ、話題を集めています。

 20日にはコンビニのバイトと社長の恋を描く『この恋あたためますか』(TBS系)、23日には母たちの婚外恋愛がテーマの『恋する母たち』(TBS系)、26日には25年間“共演NG”だった元恋人同士のラブコメ『共演NG』(テレビ東京系)、27日にはハロウィーンからクリスマスまでの恋模様にフィーチャーした『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)の第1話放送が予定されています。また、泥棒一家の娘と警察一家の息子の新婚生活を描く『ルパンの娘』(フジテレビ系)も、広義では恋愛ドラマに分類されると言っていいでしょう。

なぜ今秋、「プライム帯(19~23時)で放送される半分近くが恋愛ドラマ」という状況が生まれたのでしょうか。

刑事・医療から恋愛にシフトした理由

 1980年代後半から1990年代にかけて秋ドラマは、「10月の第1話から、クリスマスの最終話に向けて盛り上がる」という構成のラブストーリーが多く、「最も恋愛ドラマが多い季節」と言われていました。しかし、今秋に恋愛ドラマが増えたのは、「当時と同じくらい恋愛ドラマへの視聴者ニーズが高まっているから」ではありません。

 今秋の背景として挙げられるのは、今春に大幅リニューアルされた視聴率調査。世帯ではなく個人の視聴率が細かく調べられるようになり、スポンサーが求める10~40代の視聴者に向けたドラマ制作がはじまっているのです。実際、今秋のラインナップを見ると、若年層が好む恋愛ドラマが多い一方、あれほど多かった中高年が好む刑事・医療モノの新作はゼロ。民放各局の意識がこれまでとは変わったことがわかるのではないでしょうか。

 また、今年に入って『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)、『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)が高視聴率に加えて大きな反響を巻き起こしたことも、恋愛ドラマへの回帰をもたらしているところもあるでしょう。

 さらに、コロナ禍のステイホーム中、韓流ドラマ『愛の不時着』(Netflix)がクチコミから大ヒット作となり、『愛していると言ってくれ』(TBS系)、『やまとなでしこ』(フジテレビ系)、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)などの名作再放送も含め、ラブストーリーに脚光が当たる機会が増えていました。いまだ重苦しいムードが続く中、制作サイドが、命や事件を扱う刑事・医療モノよりも、「ラブストーリーで癒されたい」という視聴者ニーズに応えようとしているのです。

 ただ、「来年以降、一年中ラブストーリーがラインナップされるか」と言えば答えはノー。TBSの火曜ドラマ(22時~)は、ほぼラブストーリーに徹していますが、今のところ他のドラマ枠は年に1~2本程度のペースが予想されています。しかし、今秋から来年の結果によっては、もう少し増えて「2020年代は恋愛ドラマの時代」になる可能性はあるでしょう。

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト