朝ドラが恋愛ドラマに合う若手を発掘
もう1つ、恋愛ドラマが増える背景の1つとなったのは、若手女優たちの台頭。前述した今秋の恋愛ドラマの主演に、『あさが来た』の波瑠さん、『ひよっこ』有村架純さんの朝ドラ主演経験者と、現在放送中の『エール』に出演している森七菜さんが起用されています。
朝ドラは毎年2作ずつ放送され、ヒロインはもちろん、友人や同僚などの役で多くの若手女優を発掘。朝ドラ出演後は、幅広い視聴者層からの知名度と好感度が上がることから、民放各局にとっては「ラブストーリーに打ってつけの女優」となっているのです。
波瑠さんと有村さんは20代後半で、森さんに至ってはまだ19歳。9月30日に最終話を迎えた『私たちはどうかしている』(日本テレビ系)のヒロインを演じた20歳の浜辺美波さんも含めて、主演を務められる若手女優が増えています。この点は「秋の恋愛ドラマが全盛期だった1980年代後半から1990年代と似ている」と言っていいでしょう。
最後にふれておきたいのは、ラブストーリーが得意な脚本家の存在。『姉ちゃんの恋人』は『イグアナの娘』(テレビ朝日系)や『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)などで知られる岡田惠和さん、『#リモラブ』は『ホタルノヒカリ』(日本テレビ系)や『スカーレット』(NHK)などで知られる水橋文美江さん、『恋する母たち』は『セカンドバージン』(NHK)、『大恋愛』(TBS系)などで知られる大石静さんが脚本を手がけます。
また、来年1月放送予定の『ウチの娘は、彼氏ができない!!』(日本テレビ系)は、『ロングバケーション』(フジテレビ系)や『ビューティフルライフ』(TBS系)などで知られる北川悦吏子さんが脚本を手がけることが発表されました。これらの名手たちにとってもラブストーリーの復権は好ましいものであり、その力を遺憾なく発揮してくれるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。