ライフ

がん告知された人への接し方 不用意な励ましや慰めは逆効果

病院の危険な場所とは

がん患者に対してどう接すれば良いか

 日本人ががんと診断される年齢を見ると、65才までが3割、65~74才が3割、75才以上が4割。やはり親の世代のがんは多い。家族も覚悟しておく必要があるのだ。いつの時代もがんの診断は大きな衝撃で、本人の恐れや悲しみは計り知れない。支える家族の役割は大きいという。

 人生のゴールもそう遠くない老親ががんになったら、家族はどう支えたらよいか。静岡県立静岡がんセンター総長の山口建さんに聞いた。

まずショックを受けた心に寄り添って支える

 いまやすべてのがんの6割以上、早期発見なら9割以上が完治できるようになったといわれるが、高齢者やその子供世代にとっては“不治の病”というイメージが根強い。 山口さんは、がん治療は単に病変を診るだけではなく、患者の心や生活も含めた“全人的治療”が必要と考え、全国1万人を超えるがん患者と家族の苦悩の実態を調査した。

「告知を受けた患者さんには、症状や死への恐怖、治療や経済的負担への不安、家族や周囲への思いなど、さまざまな苦悩が押し寄せることが調査からもうかがえます。また、治療の後も再発の恐れにさいなまれ、苦悩は絶えません。まずはご本人を支える必要があります。特に親子の場合、普段は言葉にしなくても通じ合うことでも、がんなど重い病気にかかったときは、それでは通じません。しっかり心を通わせる会話が必要なのです」

 ただし、不用意な励ましや慰めは逆効果になることもある。老親に苦しみを吐露させ、受け止めることが大切だ。

「多くのご家族にありがちなのは、医師側の立場になってしまうこと。“苦しいのはしかたないそうだよ”“先生が言われたとおり少し我慢しよう”などと、医師を代弁して説明したり説得したりすると、本人は孤独になるばかりです。“同悲同苦”といわれる共感が大事。同情より深く本人の苦しみを分かち合うとともに、涙を流すような姿勢です」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」