芸能

アラ還記者、月7000円で働いた高校時代の「年季奉公」を思い出す

(写真/公式HPより)

主人公の竹井千代を演じる杉咲花(写真/公式HPより)

 体当たり企画でおなじみの、女性セブンのアラ還ライター“オバ記者”こと野原広子が、世の中で話題になっているトピックにゆる~く意見を投げかける。今回、オバ記者が注目したのはNHKの朝ドラ『おちょやん』。このドラマをきっかけに、オバ記者が思い出したこととは……。
 
 * * *
 コロナ禍で何の予定も立たない年末年始を、NHK連続テレビ小説『おちょやん』を時計代わりにして、なんとかしのいでいる。

 まず、主人公の竹井千代の子供時代の設定がすごい。

 酒浸りで働かない父と弟のために5才から家事をこなし、養鶏場で鶏の世話をしているというんだもの。そして9才で道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出て、学校に行かず働き、18才になった千代。これから物語はいよいよ佳境に入っていく。

 って……逆境を跳ねのけ、健気にがんばる主人公は朝ドラの定番だけど、今回は、やけに胸がザワつくの。

 原因はわかっている。フタをしていた私の過去を、千代がえらく刺激するのよ。というのも私自身、いまは完全に消滅したであろう“年季奉公”の経験者だからだ。

 奉公といっても、大きく分けて2種類あってね。

 たとえば、職人が腕を磨くために親方の家に住み込んで一から教わる。これは、伝統工芸の世界でいまでも残っている徒弟制度。もっとも、いまでは住み込み形式はほとんどなくて、アパートなり親方の家の離れなりに部屋を与えられて、それなりに個人の自由はある。

 で、もう1つが、私が体験した形で、千代もそうだけど、奉公に出る前にいくばくかのお金が親に支払われる。

 といっても、遊郭に売り飛ばされたわけではないから、たいした金額じゃない。私の場合は、高校生になるための資金が必要だったの。

 というのも、思春期を迎えた私と極限まで不仲になった義父(当時39才)が「中卒で働け。そうでなければ、家から出て行け」と言い出したからなの。

 母親は「離婚してもヒロコ(オバ記者のこと)を高校には行かせてやる」と言うけれど、そうしたら、11才年下で当時まだ4才の弟はどうなる。

 そんなある日、町内のある商店(建築資材を扱っている家族経営の店)が、住み込みで働くことを条件に、県立高校の入学金と支度金を用意してくれると申し出てくれた。

 こうして晴れて高校生になった私は、登校前に、店の家族と長く住み込みで働いているお姉さんの衣服の洗濯をして、ご飯を炊いて、自分のお弁当を詰める。下校後は、店の手伝いを夜寝るまで。盆暮れと試験前の数日は家に帰してくれたけど、それ以外は無休。雇用主は社長ではなく、旦那様と奥様だ。

 それで食事と毎月7000円をいただいた。この中から高校の月謝と後援会費、合わせて4500円を払い、残りの2500円でお弁当のおかずと、身の回りのものを買う。

 昭和48年のことだけど、レコードを買うとか娯楽に使うお金なんて、とてもじゃないけど残らなかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン